本作は小説です。人物評伝ではありません。歴史的事実を踏まえていますが、主要なところは創作です。
「七重八重 花は咲けども 山吹の みのひとつだに なきぞかなしき」
広く知られたこの歌の「みのひとつだに」とは、「実」と「蓑」の掛け合わせといわれています。しかし、それだけなのでしょうか?
本作はもう一つの「み」の意味を提示します。
山吹の歌と共に名将として名高い大田道灌は、単に合戦に強いだけでなく、文化を愛し、歌人や詩人たちとの交わりを好んだ人物でもあります。当時の江戸城は文化サロンでもありました。 そこには、どのような人たちが太田道灌を慕って集まったのでしょうか?
また、太田道灌は、上杉氏に背いた長尾景春の乱鎮圧に抜群の功績をあげながらも主人上杉定正に暗殺された悲運の武将でもあります。
本作はそうした太田道灌の生き様を独自の視点で描いた作品です。
==== 目 次 ====
第一章 山吹の花
第二章 下総の出会い
第三章 はるき姫
第四章 武州江戸歌わせ
第五章 長尾景春の乱
第六章 梅花無尽蔵
太田道灌を描いた作品は多くありません。 本作が太田道灌という武将に興味を持っていただく契機となれば幸いです!